子ども達が大人になるころには

お配りした「ようちえん通信」に記載がありましたように、現在の幼稚園児が成人した時には50%が現在存在しない職業に就くのではないかと言われています。確かに私が幼稚園の時にはなかったように思える仕事(パッと思い浮かぶだけでもパソコン、インターネット)が多いような気がします。学校で先生から教えてもらったことを正確に理解できたかどうかの評価ではなく、創造性、コミュニケーション、考動(考えて動くこと)、加減、問題解決能力等様々な力を得ていくことが必要です。国語や算数等の基礎学力は大事です。しかし、お勉強だけになるといけないのです。最近の大企業は受験勉強だけしてきた高学歴の学生は採用しないと聞いたことがあります。そう考えると幼児期の経験も大きな影響を与えるのではないでしょうか。やっぱり遊びの中で育つもの、経験することが大切です。大人が仕掛けた遊びだけでもダメです。子どものしたいように遊び、大人が見守るということが、一番子どもが育つのではないかと思います。前月お伝えした「集中」ではなく、「夢中」になって遊ぶ時が最高の育ちです。もしかしたら20年後には「テストの点数が取れる子」は存在せず、テストの内容も変わっているかもしれません。

集中と夢中

私は受講していませんが、職員が受けた研修の中で「集中と夢中」の違いについて話があったようです。似ているような言葉ですが、集中は疲れるようです。夢中は疲れないそうです。確かに「集中しなさい」とは言いますが、「夢中になりなさい」とは言いません。与えられたものや、自分の意志と違うものをする時には集中、自発的にのびのびやっていることを夢中と言うのでしょうか。そう考えると、子どもの遊びの中では「夢中」で遊んでほしいですね。夢中になっている時は脳からドーパミンという物質が出ていて、脳のメンテナンスをしてくれているようですよ。九州地区教師研修大会で茂木健一郎さんの講演にありました。

話が少しずれますが、保護者の皆様も何か夢中になっていることありますか?子ども達も年齢を重ねると、夢中になることが少なくなるように思います。大人が1つでも、小さいことでも夢中になっている姿を見せると子ども達も「大人っていいな」と思えるのではないでしょうか。「大人って楽しいぞ」「大人ってワクワクするよ」が身近に感じられれば、子ども達も今が楽しいし、将来にも期待が持てるのではないでしょうか。大人の世界はそんなものじゃないと伝えるのはもう少し大きくなってからでもいいかなと思います。我が家では私が出張で飛行機に乗ったり、電車に乗ることが「大人っていいな」となっているようです。そういう時には「早く大人になれるといいね」と声をかけています。幼児期に大人への憧れも持ってほしいものです。

与えるな!

今月、クロフネカンパニーの中村文昭さんの講演会に参加する機会がありました。年間300回も講演をされている方です。幼稚園の研修会でしたので、小さいころの話をされました。大自然で育った中村氏は遊ぶものを一切与えられず、山、川等を遊び場にし、自分で遊びを創ったと言います。子ども達の今の世界で言えば、廃材を使ったり、広告紙で見立て遊びをしたり、無いものをあることにして空想の世界に入り込んだりということでしょうか。それが今、仕事を創る基になっているとの事でした。大人になったら与えられた仕事を与えられた通りにすることは少ないです。「人生にとって一番最初の遊びを与えてしまったら、勉強も仕事も人間関係も全て与えられないとできない子に育ってしまうと思う」と中村氏は話していました。指示待ち症候群の子と、自発的に動きいろいろなものを創っていく子と、どちらが理想かというと言うまでもありません。遊びを極力与えず、遊びに対する指示や行動に対する指示をできるだけ少なくし、自発的に考えて行動できる子に育ってほしいものです。私達大人の役割は軌道修正です。まわりの人的環境によってその育ちが変わってくると思います。指示待ち症候群の一番の原因はその子ではなく、周りの大人が指示を出し過ぎるからと聞いたことがあります。大人の我慢がその子を育てる時もあるのかもしれませんね。

根拠のない自信